一華五葉

歯医者の帰りに花を買った。

思い返せば花を買ったことなどほとんど無い。付き合ったただ一人の女性、はるかに遠い土地で結婚した友達、ストリップ劇場の踊り子さん達、仏様(ご先祖様)。

そもそも果樹農家の私は花卉野菜類の花より果樹の花を見ることが多い。

南陽のあたる、花屋さんの店先で花を選んでいると、温かく穏やかな気持ちになる。

植物は色々なことを教えてくれる。ところが人は、元々持っている魅力を無視して、

人好みの花に改良してしまう。罪悪感も無いままに。

自然と共存という名目で人に都合が良いように変えてしまう。笑えないけど笑っちゃう。自然の中でそれは、自分で自分の首をしめていることだと気が付かないままに

偏った幸福を求める。

幸福あるいは幸福感というのは、そもそも実態の無いものだからそれでもいいのだろう。幸福感を得るのに、それほど沢山のものはいらないのだけれど。

私は「生き方」を動植物に問い教えてもらう。不幸な動植物はいないのだから、私はいつも幸せなんだと思う。

一華五葉(いちげごよう)を開き、結果自然(じねん)に成る。

心に綺麗な花が咲けば、自然に素敵な実(身)と成る。

広い大きな道の真ん中を穏やかに歩いていれば、いつだって幸せなのさ。(笑)